禁煙化の仕上がりは、施工前に半分決まっている
現場責任者として6,000室以上の禁煙化を見てきて言えることのひとつが、これです。施工の仕上がりは、施工が始まる前に半分決まっている。
この記事では、私たちが施工前にホテル様へ実際にお願いしている準備を、すべて公開します。ただし先にお伝えしておくと、このリストを「お渡しして終わり」にしたことは一度もありません。施工直前まで、ご担当者様と何度もやり取りしながら一緒に詰めていきます。その理由は、記事の最後に書きます。
客室単位でお願いしていること
施工当日までに、各客室で以下の6点をお願いしています。
1リネン類の撤去
シーツ・枕・ベッドカバーを客室から出しておいてください。布類は臭いを吸い戻す原因になります。
2カーテンの取り外し
外したカーテンはクリーニングへ。理由は下の囲みで少しだけ——実は客室でいちばん臭うのがカーテンです。
3備品・アメニティ・貴重品の移動
客室内の備品類・お預かりできない貴重品は、事前に移動をお願いしています。
4冷蔵庫を空にする
庫内の飲料・備品を出して、空の状態にしておいてください。
5鍵の手配と販売停止
施工対象室の鍵のお貸し出しと、施工期間中の販売停止の設定をお願いします。
6搬入経路の確保
業務用エレベーター等、資材の搬入経路の確保をお願いしています。

リネンは袋にまとめて、マットレスの上に置いたままで大丈夫です
建物単位で、一緒に確認すること
客室の外にも、確認しておくべきことがあります。ここはホテル様に「お願いする」というより、私たちと一緒に確認していく項目です。
1ビル保安室への施工届
ビルイン型のホテルでは施工届が必要な場合があります。有無を事前に確認します。
2エレベーター停止の可否と掲示
搬入時の停止が可能か、宿泊されているお客様へのご案内掲示をどうするかを決めます。
3エレベーターボタンへの施工中シール
施工中であることが一目でわかるよう、ボタン周りに案内シールを貼る対応をしています。
4施工フロアの通路確保
フロアにコインランドリーや自動販売機がある場合、宿泊されているお客様が施工中も安全に利用できるよう通路を確保します。

エレベーターへの施工中のご案内。宿泊されているお客様への配慮も準備のうちです
禁煙化は客室の中だけで完結する工事ではありません。営業を続けるホテルの中で行う以上、宿泊されているお客様の動線と体験を守ることまでが施工の一部だと考えています。
チェックリストを、お渡しして終わりにしない理由
冒頭の続きです。なぜ私たちは、このリストを渡して終わりにしないのか。
準備の状況は、ホテルの規模・人員・繁忙状況によってまったく違うからです。リネンの撤去まで手が回るホテルもあれば、袋詰めが精一杯のホテルもある。エレベーターを止められる建物もあれば、止められない建物もある。だから私たちは、施工直前までご担当者様とやり取りを重ねて、そのホテルにできる形に準備を合わせていきます。
その結果として、準備が原因で施工が止まった現場は、ほとんどありません。
チェックリストは、ホテル様への宿題ではなく、私たちとホテル様の共同作業の始まりです。ご不安な点は、現地調査の際に遠慮なくお尋ねください。
「現場責任者の声」シリーズは、禁煙化の現場で起きたことを今後も記録していきます。第1話:なぜ「一番人気の客室」ほどタバコ臭が取れなかったのか/第3話:喫煙室のカーテンにクリーニングが必要な理由/シリーズ一覧はタグ「現場責任者の声」から。