【現場責任者の声 #03】喫煙室のカーテンにクリーニングが必要な理由|いちばん臭うのは、実はレース

「現場責任者の声」は、ホテル・旅館の禁煙化施工6,000室超の現場で実際に起きたことを、現場責任者がそのまま記録するシリーズです。うまくいった話だけでなく、失敗と、そこから確立した方法までを書き残します。


客室でいちばん臭うのは、カーテンでした

前回の記事(#02・ホテル側の事前準備)で、「カーテンは取り外してクリーニングへ」とお願いしていることを書きました。今回はその理由を、きちんと説明します。

喫煙可だった客室の中で、いちばんタバコ臭を含んでいるのは、壁でも天井でもなくカーテンです。ヤニの特性で生地は黄ばみ、近づけばはっきりと臭います。

そして現場で数えきれないカーテンに触れてきた実感として、中でも臭うのはレースカーテンです。厚手のドレープカーテンより、あの薄いレースのほうが、臭いも変色も強く出ます。

なぜレースカーテンが、いちばん臭うのか

理由は4つあります。

1空調の風を、直接浴び続けている

多くの客室で、カーテンは空調の吹き出しの風がまともに当たる位置に掛かっています。喫煙室の空調が送り続けてきたタバコ臭を含む風の通り道に、何年も掛かり続けてきた布です。

2繊維が粗く、臭いがまとわりつきやすい

レースは目の粗い編み地です。表面積が大きく、風が生地を通り抜けるため、タバコ臭の粒子が繊維にまとわりつきやすい構造をしています。

3窓際は、空気が留まりやすい

カーテンと窓の間の空間は空気が滞留しやすく、臭いを含んだ空気がレースに触れ続けます。

4クリーニングされる機会が、少ない

リネン類が毎日交換されるのに対して、カーテンの洗濯頻度はどうしても低くなります。長年の蓄積が、そのまま残っているケースがほとんどです。

つまりレースカーテンは、臭いを含んだ風の通り道で、絡め取りやすい素材が、洗われないまま何年も掛かり続けている——臭わないほうが不思議な条件が揃っているのです。

だから、消臭ではなくクリーニングをおすすめしています

私たちは消臭施工の会社ですが、カーテンについては「クリーニングに出してください」とお願いしています。

布地の繊維に染み込んだ臭いは、丸洗いできるものは丸洗いするのが、いちばん確実で費用も合理的だからです。なんでも自社の施工で解決しようとするより、適した方法をそのままお伝えするほうが誠実だと考えています。

(ご予算に余裕があれば、浴室のシャワーカーテンは新調をおすすめしています。)

カーテンの「上」にも、同じものが溜まっています

ただし、カーテンを外してクリーニングに出しても、それだけでは終わりません。カーテンが掛かっていたカーテンレールに、同じ年月のヤニが溜まっているからです。ここは私たちが洗浄します。

言葉で説明するより、写真をご覧ください。

喫煙室のカーテンレール。洗浄剤に反応してヤニが溶け出した状態

洗浄剤に反応して溶け出した、カーテンレールのヤニ。カーテンはこの真下に掛かっていました

カーテンレールから取り外したランナー部品。ヤニで茶色く覆われた洗浄前の状態

レールから外したランナー(カーテンを吊るす部品)。ヤニで全体が茶色く覆われています

カーテンランナーの洗浄中。水がヤニの色に濁っている

洗浄すると、水がヤニの色に変わっていきます

洗浄を終えたカーテンランナー

洗浄後のランナー

洗浄後のカーテンレール。ヤニが除去され本来の輝きに戻った状態

洗浄後のカーテンレール。ここまで戻してから、クリーニング済みのカーテンを掛け直します

レールの溝やランナーの一つひとつに、ヤニは固着しています。洗浄すると、水がヤニの色に変わっていく。ここまで戻してから、クリーニング済みのカーテンを掛け直す。これで窓まわりの臭気源が、ようやくリセットされます。

まとめ:窓まわりは「布はクリーニング、レールは洗浄」

 カーテン(特にレース)は、客室でいちばん臭いを含んでいる

 布はクリーニングが確実。消臭施工で抱え込まない

 レールとランナーは私たちが洗浄し、窓まわり全体をリセットする

禁煙化は、薬剤を撒けば終わる仕事ではありません。臭いがどこに、なぜ溜まるのかを知っていることが、仕上がりの差になります。

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