カーペット洗浄後の雑菌臭|湿度85%の客室で試行錯誤した現場記録

カーペット洗浄から2日後|雑菌臭発生

窓を開けられない客室での施工|客室内湿度85%

客室復帰まで3日|試行錯誤の記録を公開します

この記事の要点

01 カーペット乾燥の条件は客室内湿度60%以下

02 臭いの発生源は汚れが集中する2箇所

03 施工前の湿度計測が売り止め日数の判断材料

施工前に計測した客室内湿度

リフレッシュ施工では客室ごとに湿度を計測し記録します。今回の数値です。

施工前の客室内湿度85%と75% カーペットが乾く条件60%以下との差を示したスケール図

施工前の客室内湿度と カーペットが乾く条件との差

最も条件の良い客室でも 乾燥条件を15ポイント上回ります。窓での換気ができないため 建物全体がこの水準です。

雑菌臭が出るまでの時系列

1日目

カーペット洗浄を実施

窓が使えないため 空調とブロワーの風力で乾燥させます。

2日目

雑菌臭を確認

乾き具合を手で確かめる前に 臭いが立っていました。

その夜

業務用オゾンで一晩

翌朝も臭いは残りました。

次のフロア

洗浄前の薬剤を入れ替え

酸素系の雑菌に効果のある液剤へ 温度と濃度を上げて切り替えました。

3日間

客室を戻すまでに要した日数

臭いの強かった4部屋に 高温スチームとドライヤーを併用しました。

臭いの発生箇所は客室内の2箇所

臭いはカーペット全体からではありません。どの客室も同じ2箇所からでした。

客室の平面図 雑菌臭が出た椅子まわりのゴミ箱周辺と入口からベッドへの導線を示した図解

雑菌臭が出ていたのは客室内のこの2箇所

有機汚れが集中する2箇所に水分が残り その箇所だけで菌が増えます。乾燥時間だけの問題ではありません。

カーペットの雑菌臭にオゾンが効かない理由

タバコ臭の除去で使用している業務用オゾン発生機を一晩かけましたが 翌朝も臭いが残っていました。

オゾンが効かない理由の図解 カーペットの断面写真とオゾンが届く範囲の模式図

オゾンが強く働く範囲

空気中の臭気成分 素材の表面に付着した臭気

今回の臭いの出どころ

繊維の奥に残った水分と汚れ。ここで菌が増え続けるため 空気を処理しても翌朝また臭います

対処すべきは臭いではなく カーペット内部に残った水分と汚れ。

同じ臭いでも 天井内のカビによるものは原因も対処も異なります。判別については高温多湿とカビ臭の関係にまとめています。

カーペット洗浄前の薬剤変更

通常の施工

弱アルカリ性のコロイド洗剤を 常温の水で規定の濃度に調整

今回の現場

酸素系の雑菌に効果のある液剤へ入れ替え。50℃の温水を使い 濃度も上げて調整

狙いは繁殖した菌の除菌です。酸素系の液剤は水温とともに反応が進むため 温度と濃度の両方を上げました。乾燥に時間を要する以上 その時間を菌の増殖時間にしないことが先決です。

ホテル客室のカーペットに手持ちノズルで蒸気をあて局所を乾燥させている様子

手持ちノズルで臭いの出た箇所を狙う

ホテル客室の赤いカーペットに業務用スチーム機で蒸気をあてている作業の様子

面で仕上げるスチーム施工

カーペットの乾燥速度を決めるのは湿度

薬剤を変えたフロアでも 4部屋では臭いが発生。いずれも施工前の計測で湿度の高かった客室です。導線と椅子まわりに高温スチームとドライヤーを併用し 客室復帰まで3日を要しました。

薬剤で変えられるのは臭いの出方であり 乾燥時間そのものではありません

窓が使えない環境では 室内湿度が乾燥速度を決めます。ここを取り違えると 洗浄方法を見直しても結果は変わりません。

乾燥の前提条件は湿度60%以下

客室内湿度が60%を超える間 カーペットの乾燥は進みません。乾燥しない間は雑菌が繁殖を続けるため 異臭も収まりません。

湿度60%以下。これがカーペット乾燥の前提条件

窓を開けられる客室と開けられない客室の乾燥条件を比較した図解 客室内湿度75〜85%とカーペットが乾く条件60%以下

窓での換気ができるかどうかで乾燥の条件が変わる

今回の客室では この条件を満たす手段が限られていました。

湿度を下げる手段が限られていた理由

窓を開けての換気ができません

換気扇の風力が弱く 室内の空気が入れ替わりません

夏場は空調を暖房に設定できないホテルが一般的です

暖房器具は火災の恐れがあり 人がつきっきりでなければ使用できません

換気扇の風力については ホテル客室の空気の流れで 入口と出口の関係を整理しています。

乾燥だけを見れば 室温を上げて蒸発を促すのが最短です。冷房は室温と床面温度を下げ カーペットの水分を留めます。水分が残る間は菌の増殖が続くため 乾燥の観点では逆に働きます。

ただし夏場のホテルでは 館内空調が冷房で運用され 客室単位での暖房切り替えができないことが一般的です。持ち込みの暖房器具も 火災の恐れから 人がついていない客室では使用できません。室温を上げるという選択肢は 現実には取れません。

乾かないカーペットへの対処

湿度60%以下まで下げるために現場で取れる手段の図解 使えない手段と現場で取った手段の対比

湿度60%以下まで下げるために取れる手段と その制約

01 ドライヤーでの局所乾燥

椅子まわりと導線 臭いの出ている箇所に直接あてます。面ではなく点で水分を飛ばします

02 強力な除湿機の設置

室内の水分量そのものを下げます。60%以下に近づけるための主たる手段です

03 タイルカーペットのローテーション

最後の手段です。臭いの出ているタイルを ベッドの下など人の目に触れない位置のタイルと入れ替えます

タイルカーペットであればこの方法が使えます。ロールカーペットの客室では選べないため 建物の仕様が打てる手を左右します。

同じ条件の客室でお困りでしたら

施工前の湿度確認からご相談ください

引き渡し後の数日間も工程の一部

空調の運転は どの施設でも当然に行われています。問題は運転の中身です。

冷房運転では室内湿度が60%を下回りません。カーペットに水分が残ったまま温度だけが下がり 菌の増殖が続きます。引き渡し後に必要なのは 冷房ではなく除湿機です。カーペットの水分が抜けきるまでの数日間 除湿機を置いたままにしていただくようお願いしています。

当社が標準にしていること

平時の体制もあわせてお伝えします。

禁煙化施工の累計

6,000室超

今回の施工で記録した客室数

28室すべて

1室あたりの計測項目

7項目

客室内湿度 空調風速 浴室排水 換気扇風速を 施工前後に1室ずつ計測し 客室番号ごとに記録します。フロア単位の平均ではありません。

記録があるため 施工後に臭いの出た客室について 施工前の状態を遡って確認できます。今回 臭いの出た4部屋が施工前から湿度の高い客室だったと特定できたのも この記録によります。

引き渡し後の除湿機の設置も 施工前の打合せでお伝えする項目です。施工完了時点ではなく カーペットの水分が抜けきるまでを1つの工程として扱います。

施工の内容は ホテル客室のカーペット洗浄をご覧ください。

施設側で押さえておく3点

施工前の湿度計測から着手順の決定を経て売り止め日数の把握につながる流れを示した図解

施工前の湿度計測が判断材料になる

01 施工前の湿度計測という判断材料

臭いの出た客室は 施工前の計測で高い数値を示していた客室でした。どの客室が乾きにくいかは 施工前に把握できます。

02 売り止め日数の事前把握

湿度の高い客室から先に着手すれば 乾燥に充てる日数を長く取れます。施工の順序が販売可能日を左右します。

03 引き渡し後は冷房ではなく除湿機

冷房運転だけでは室内湿度が下がらず 菌の増殖が続きます。数日間 除湿機を置いたままにしていただくことが 仕上がりを保つ条件です。施工前の打合せでお伝えしています。

注目

窓が開けられない客室のリフレッシュ施工|高湿度環境での乾燥管理

高湿度環境での客室リフレッシュ施工の考え方と 実測の記録をまとめています。

今回の記録から

今回は臭いが出てからの対処になりました。実施したことと 改善点を整理します。

今回の施工と改善点の対比表 施工前の湿度計測 洗浄前の薬剤 乾燥手段 引き渡し後の4項目

今回の施工と改善点

01 施工前の湿度計測

今回

全28室で施工前に計測し 客室ごとに記録。数値は残していましたが 施工の順序には反映していません。

改善点

60%を超える客室から先に着手すれば 乾燥に充てる日数を長く取れます。

02 洗浄前の薬剤

今回

通常の弱アルカリ性コロイド洗剤で開始。臭いの発生後に 酸素系の液剤へ入れ替えました。

改善点

施工前の湿度が高い客室は 最初から酸素系の液剤を選ぶ判断ができます。

03 乾燥手段

今回

ブロワーの風力で乾燥させる前提で進行。臭いの発生後に ドライヤーと高温スチームを投入しました。

改善点

臭いが出てから投入するのではなく 施工初日から除湿機で湿度を下げておく必要があります。

04 引き渡し後

今回

冷房運転のみ。1室で臭いが戻り タイルカーペットのローテーションで対応しました。

改善点

冷房では室内湿度が下がりません。除湿機の設置継続を 施工前の打合せでお伝えします。

同様の立地で客室リフレッシュをご検討でしたら 施工前の客室内湿度から確認します。

よくあるご質問

Q カーペット洗浄後に雑菌臭が出るのはなぜですか

A カーペットの繊維の根元に水分が残り その水分と有機汚れを栄養に菌が増えるためです。臭いはカーペット全体ではなく 椅子まわりやゴミ箱の周辺 歩く導線など 飲食のこぼれや靴裏の汚れが集中する箇所から出ます。

Q カーペットが乾く湿度の目安はどのくらいですか

A 客室内湿度60%以下が目安です。60%を超える間はカーペットの乾燥が進まず 乾燥しない間は菌の増殖が続くため 異臭も収まりません。窓を開けられない客室では 施工前に客室ごとの湿度を計測しておくことが判断材料になります。

Q 雑菌臭にオゾンは効きますか

A 空気中や素材の表面に付着した臭気には強く働きますが 繊維の奥に水分と汚れが残っている場合は そこで菌が増え続けるため翌朝また臭います。対処すべき対象は臭いではなく カーペット内部に残った水分と汚れです。

Q 窓を開けられない客室ではどのように乾燥させますか

A ドライヤーでの局所乾燥と 強力な除湿機の設置が中心になります。夏場のホテルは空調を暖房に設定できないことが一般的で 持ち込みの暖房器具も火災の恐れから使用できません。冷房は室温と床面温度を下げ 水分を留めるため乾燥には逆に働きます。

Q 引き渡し後に施設側で必要な対応はありますか

A カーペットの水分が抜けきるまでの数日間 除湿機を設置したままにしていただくことをお願いしています。冷房運転だけでは室内湿度が60%を下回らず 菌の増殖が続きます。

客室リフレッシュ施工のご相談

客室の状態やご予定に合わせて ご案内します。

お問い合わせフォームはこちら

TOP
HONU お問い合わせ
触媒のチカラ / KOHKIN LAB