窓が開かない高層ホテルにエアコンカビ臭が多い原因|現場責任者が現場で確かめていること

「エアコンをつけた瞬間、カビの臭いがする」
「清掃したはずなのに、数日で臭いが戻ってくる」
「窓が開かないので、空気を入れ替えることもできない」

こうしたご相談が、高層ホテル様から急増しています。本記事では、ホテル客室の空調洗浄・消臭施工を担当してきた現場責任者の立場から、なぜ窓が開かない高層ホテルの客室にエアコンのカビ臭が集中するのか、その原因と、現場での確かめ方をお伝えします。

プレスリリース2026年7月24日/PR TIMES

高層ホテル・高気密ホテルからの空調異臭解決へ

窓が開かない高層ホテルで「エアコンのカビ臭」相談が急増。株式会社HONU:施工体制を増強

高気密な客室で表面化する空調臭に対応するため、専門スタッフを増員し、空調本体から吹き出し口内部まで一体で施工する体制を強化しました。

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高層ホテルでエアコンカビ臭の相談が増えています

近年の高層ホテルでは、安全性や空調効率の観点から、客室の窓を開けられない構造が広く採用されています。快適性と引き換えに、客室は「自然換気ができない空間」になりました。

その結果として、私どもに寄せられるご相談には、はっきりとした共通点があります。

・エアコンをつけるとカビ臭がする
・冷房運転中に臭いが強くなる
・清掃後も数日で臭いが戻る
・窓が開かず、客室内の空気を入れ替えられない
・高層階の一部客室で空調臭のご指摘が続いている

そのカビ臭、本当にカビが原因なのか

最初に、あえて疑うところから始めます。というのも、業者によっては「これは建材の匂いです」と説明するケースがあるからです。実際、新しい建物では建材や接着剤に由来する匂いが残っていることもあり、決めつけは禁物です。

私どもが客室に入ってまず行うのは、吹き出し口のガラリに鼻を近づけて匂いを確かめることです。長年この仕事をしていると、カビの匂いは経験上わかります。ガラリを外して内部をウエスで拭けば汚染度は一目瞭然ですが、すでに販売用にセッティングされた客室では、私どもは安易にガラリを開けることはしません。お客様にお貸しする部屋を、診断のために汚すわけにはいかないからです。

図解1|客室を汚さずに行う、5つの確認

嗅覚による判断を裏づけるために、次の順序で確認を重ねていきます。

\ 販売中の客室を荒らさずに原因を絞り込む手順 /

1ガラリに鼻を近づけて嗅ぐ

吹き出し口から出てくる空気の匂いを直接確かめます。カビの匂いか、それ以外かをここで見当づけます。

2天井点検口から空調の汚染度を見る

隠蔽型空調は天井内に本体が隠れています。点検口を開け、本体まわりの状態を目視で確認します。

3他の客室と空気を対比する

同じフロアの別の部屋と比べ、その客室固有の問題か、フロア全体・館全体の傾向かを見極めます。

4湿度を測る

カビの生育には湿度が欠かせません。感覚ではなく数値で、その客室の環境を客観的に押さえます。

5換気扇が空気を吸っているかを風速計で測る

ティッシュをかざす簡易確認ではなく、風速計で換気量を数値化します。ここに、次章でお伝えする重要な事実が隠れています。

図解1:現場での原因切り分けの流れ

感覚だけに頼らず、目視・対比・数値で裏を取る。この積み重ねが、「建材の匂いなのか、カビなのか」という問いに対する、私どもなりの答えの出し方です。

高層ホテルの客室にカビ臭が多い原因は、構造から始まる連鎖です

検証を重ねてわかったのは、高層階のカビ臭は偶然ではなく、建物の構造から始まり、環境・設備を経て、臭いとして表面化する一本の連鎖だということです。段階ごとに整理すると、次のようになります。

図解2|カビ臭が顕在化するまでの8段階

PHASE 1/建物の構造

01
転落防止のため、窓が開かない仕様

02
客室の気密性が高く、自然換気ができない

PHASE 2/室内の環境

03
高層階は日当たりが良く、室温が上がりやすい

04
湿度が高い状態が続く

PHASE 3/設備の状態

05
換気能力が年々落ちてくる

06
空調の分解洗浄が行われていない

PHASE 4/表面化

07
天井内・空調内部にカビが発生する

08
一定以上の繁殖により、カビ臭が客室に顕在化する

図解2:窓が開かない客室でカビ臭が生じるまでの連鎖

この図でお伝えしたいのは、連鎖のどこか一つでも断ち切れれば、臭いは顕在化しにくくなるということです。窓が開かない構造そのもの(01・02)は変えられません。日当たりや外気の湿度(03・04)も同様です。

つまり、私どもが手を打てるのはPHASE 3——「換気能力の低下」と「空調の未洗浄」の2点です。ここが、実務上の勝負どころになります。

浴室の換気扇には、モーターが付いていません

連鎖の中でも、意外と知られていないのがこの事実です。多くのホテル客室では、浴室の換気扇そのものに動力(モーター)がありません。トイレの換気扇にはモーターが付いており、最新のホテルでは24時間換気システムが備わっていますが、従来型の浴室排気は、建物側の排気の流れに乗せて空気を逃がす仕組みです。

自力で吸う力がないということは、ダクト内に埃が積もれば積もるほど、換気量は静かに、確実に落ちていくということです。誰も気づかないまま、年々です。

図解3|同じ設備でも、年数とともにこうなります

竣工時

浴室グリル

ダクト内は
ほぼ空洞

建物側の排気へ

換気量:設計どおり
湿気も臭いも、滞りなく客室の外へ運ばれていきます。

数年〜十数年後

浴室グリル

埃が堆積し
通り道が塞がる

建物側の排気へ

換気量:大きく低下
動力がないため、詰まりを押し返す力がありません。湿気が客室内に留まります。

浴室換気扇にモーターがないことが、この差を決定づけます。モーターがあれば、多少詰まっても吸引力で補えます。動力のない排気は、通り道が狭くなった分だけ、そのまま換気量が落ちる——これが、客室内に湿気が留まる直接の理由です。

図解3:浴室換気ダクトの経年変化と換気量の関係

浴室換気扇の吸込グリルを外し、ダクト内部へ清掃ワイヤーを入れている様子
吸込グリルを外し、専用ワイヤーでダクト内部の埃を取り除いているところ

換気扇ダクトの内部から落ちてきた埃の塊が客室の床に散らばっている様子
ダクト内から落ちてきた埃の塊。ここまで堆積すると、換気はほとんど機能していません

写真は、実際の客室でダクト清掃を行った際のものです。これだけの埃が通り道を塞いでいれば、ティッシュをかざしても吸い付かないのは当然です。私どもが風速計で計測するのは、この「見えない換気能力の低下」を数値で捉え、施工前後の変化をご確認いただくためです。

カビ臭は一室では終わりません——「貸し出せる部屋がない」という声

図解2をご覧いただくとおわかりのとおり、原因は特定の一室の事情ではありません。同じ構造、同じ気候条件、同じメンテナンス状況が、フロア全体・館全体に共通しています。

だからカビ臭は、同時多発的に、複数の客室で発生します

ある客室係の方から伺った言葉が、印象に残っています。
お客様からルームチェンジを求められても、「安心してお貸しできる部屋がない」のだそうです。

一室のご指摘であれば、部屋を替えることで対応できます。しかし館全体で進行している問題に対しては、ルームチェンジという逃げ道そのものが機能しなくなります。これは客室単位の清掃の問題ではなく、建物の構造とメンテナンスにかかわる経営課題だと、私どもは考えています。

まとめ|窓が開かない客室こそ、空気の通り道の点検を

窓が開かない高層ホテルの客室では、空調と換気設備が、事実上、室内環境のすべてを左右します。エアコンのカビ臭は「なんとなく臭う」という感覚の問題ではなく、構造から始まり設備で加速する、たどることのできる因果の結果です。

そして原因がたどれるということは、対策も立てられるということです。当社では、空調本体の分解洗浄に加え、吹き出し口ガラリの内部、そして換気扇ダクトまで、空気の通り道全体を一体で施工しています。この体制については、2026年7月24日付のプレスリリースでもご報告しました。

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隠蔽型空調の構造、分解洗浄の範囲、施工の流れ、施工前後の確認内容までを1ページにまとめています。

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関連プレスリリース|2026年7月24日

窓が開かない高層ホテルで「エアコンのカビ臭」相談が急増。株式会社HONU:施工体制を増強

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本記事は、現場で施工を担当している責任者が執筆しています。個別の客室の状況についてのご相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にお寄せください。

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